フィレンツェで二匹の忘れられない猫と出会った。
六日間滞在したホテル・アプリーレの黒猫の名前はソフィア。
いつもラウンジのベンチソファアーに丸~くなって寝ている。
かなり歳をとっていて、ほとんどそこから動かない。
それでも彼女は、往年の大女優ソフィア・ローレンのようにオーラに包まれている。
街を歩き疲れてホテルに戻り、ソフィアの静かな瞳をみるとなんだか疲れが消えていく。
横に座り、「ソフィアちゃん」と声を掛け、なでてあげる。
ソフィアは静かに目を開けて、
「お帰り」とニッコリ。と、私には感じる。
もしかしたら、
「ソフィア」の次の「ちゃん」は何?
と、思ってたのかもしれないけれど。
ピッティ宮殿のポポリ庭園で出会った大きなトラ猫は、
ひろーい庭園の枯れた芝生のくぼみに寝ていた。
側にはルネッサンス彫刻の像が一体。
なんでこんなところに居るんだろう?
近くに民家はもちろん無い。
もしかしたら宮殿のお猫様?
そう思って良く見れば、
なるほど、なにやら由緒ありげなそのお顔。
何にも動じない堂々たる風格。
でも、
「トラちゃん」て呼んだら、
「ニャ~~」と答えてくれた。
★2001年9月 8泊10日 北イタリアの旅より★
ミラノ、ベネチア、 フィレンツッエ、アレッソ