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陽だまりに猫がいる幸せ♪
by りんだ
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思い出話 したいのに
3月31日は中学の同期会でした。
出席者48名。
15歳で卒業して45年。
「まさかこんな年齢になってこうして話をするなんて想像出来なかったよね~!」
そんな会話が飛び交い、思い出話に花を咲かせた楽しい時間でした。

12歳から15歳の中学生時代は多感な時で、
異性に対しても小学生の頃とは違う大人めいた感情を持ちます。
私は「素敵!」と感じてしまうとすぐ好きになってしまう女の子で、
同級生、先輩、先生。次々とやたら好きな人が出来ちゃうのだけど、
心から胸ときめかせた思い出深い特別な人は二人です。
一人は一年先輩のS君。
そして同学年のY君。
今日はY君の思い出を書いてみたいと思います。




Y君は成績もトップクラスで、背が高く色白で目元涼やかな美しい少年でした。
Y君とは同じクラスになったことは無く、話をしたことも無いけど、
二年生になってY君を知ってからは、彼に会える楽しみで学校に通ってるようなものでした。
偶然廊下ですれ違ったりする時は、私の心のトキメキはバレバレだったと思います。
「色に出にけり我が恋は~」で、きっとY君も私の気持ちは感じてたと思います。

三年生になったある日、近所に買い物のため裏通りを歩いていると、
遠くの方にY君とKさんが並んで歩いて来るのが見えました。
二人は幼馴染で、お母さん同士が親しく、仲が良い事は噂で知っていました。
だんだん距離が近づくと、二人の楽しそうな表情が眩しかった。
私はドキドキして、横道を曲がってしまいました。
その時の切ない悲しい気持ち。
惨めでした。
片思いの辛さ、失恋の痛みを知った初めての時でした。

中学を卒業して、Y君は「戸山高校」に進学しました。
私はその他大勢の通うA高校。
両校はわりと近く、戸山高校の学園祭の時遊びに行きました。
Y君に会えるかな~と心ひそかに思ってました。
校庭で友達数人と話してると、ほんとにY君と出会いました。
すると彼は嬉しさイッパイの様子で私に話しかけて来ました。
「来てくれたんだ!」
忘れられない初めての彼の言葉です。
私は嬉しさと驚きで複雑でした。
友達でもないのに、私が来るのを待ってたの?
でも、そんなことある訳ない。
知ってる顔を見たので嬉しかっただけに違いない。
私は戸惑いながらも幸せで、思いっきり微笑みながら「うん!」と答えました。
けれど友達と一緒だったし、それ以上Y君と話すことはありませんでした。
そして彼とはその後会うことも無く、月日は流れました。

二十歳の頃、大久保通りに向かって歩いていると、
Y君が歩いて来るのが見えました。
彼は学生服姿でした。
学帽の彼はとても素敵でした。
早稲田大学の理工学部に通う学生も通る道なので、
「理工なんだ~」と心に思いながらすれ違いました。
私も化粧をした大人になってたので、何となく顔も見られませんでした。
そんな事が何回か続いたある日、
「○○さんでしょ」っとY君が声を掛けてきました。
優しい明るい笑顔でした。
私は微笑んで頷いただけでした。
それからY君と二度と会う事は有りませんでした。
なんであの時立ち止まってちゃんと話さなかったんだろうと、後で何度も思いました。
もしあの時話をしてたら、何かが始まったかもしれないのに。
恋人になれなくても、友達にはなれたかもしれないのにと。

卒業して三十年以上経って、初めて中学の同期会に出席した時、
Y君に会えたら何を話そうかって内心ワクワクでした。
でも、Y君に会う事は出来ませんでした。
彼は大学を卒業して数年後、病気で亡くなったと聞かされました。
「あの時喋らなくてゴメンね。
私、Y君のこと好きだったのよ!」
笑いながら話す夢は消えてしまいました。

私の人生にはどうしようもない後悔が幾つかあるけど、
Y君の事は心の痛みを伴う思い出にしてしまいました。
Y君は思いきって声をかけてくれたんだってこと、
そして立ち止まらない私に何かを諦めたのだとしたら悲しすぎるのです。
あの時、何を話したかったの?と聞きたいのです。
あの時私が何って答えてたら、何をしてたら、
Y君の短い人生に関わることが出来たのでしょう。

私は今でも話しかけてくれた時の笑顔も、声も、
それ以外のY君のこともいっぱい覚えてるのに思い出話し出来ません。
by danri | 2007-04-01 22:19 | ★思い出語り
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